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「歯垢と歯石」

5月に入り穏やかで過ごしやすい季節となりましたね、皆さまお変わりございませんでしょうか。

さて、歯ブラシや歯磨き粉のCMなどで「歯垢」「プラーク」「歯石」という言葉を耳にすることがあるかと思われますが、これらの違いについてご存知でしょうか?
今回は、歯垢、プラーク、歯石のそれぞれの違いや予防・除去方法についてお話したいと思います。

まずは、歯垢とプラークですが、実はどちらも同じものです。
歯垢は別名プラークとも呼ばれ、虫歯菌や歯周病菌をはじめとする微生物の塊で、粘着性の高い物質です。
歯垢1mg中には数億以上の細菌が潜んでおり、虫歯菌や歯周病菌などの細菌の温床となっています。
歯ブラシが不十分だと、歯と歯茎の隙間、歯と歯の間などにどんどん溜まっていくことで、細菌の「質」が変化していきます。
歯垢は歯に付着した食べカスの塊だと思われがちですが、実は全くの別物です。細菌は、食べカスに含まれる有機質を栄養源にして活発化するため、食べカスを残さないことで細菌の活動を抑えることができます。
しかし、歯磨きが不十分だと歯垢に潜む細菌を繁殖させたり、口臭の原因になったりします。

そんな歯に付着した「歯垢」が唾液に含まれる成分と反応し、石灰化したものが「歯石」です。
歯茎の縁の上にある歯石は乳白色で、それよりも下にあるものは褐色化しているのが特徴です。歯石はすでに死んでしまった細菌の塊で、直接的に歯周病の原因にはなりません。
ただし、歯石の表面は凹凸上になっており、歯垢が付着しやすい状態にあります。歯石の上に歯垢が付着して石灰化すると、さらに大きな歯石となり、歯茎の炎症を招いてしまいます。
歯石があるということは、歯周病発症のリスクが大幅にあがってしまうのです。

歯垢は食後約8時間で生まれ、48時間後には歯石へと変化します。
歯垢、あるいは歯垢から歯石へと変化させないためにも、食事の後には丁寧に歯磨きを行いしっかりと歯垢を取り除きましょう。
歯垢を除去するためにはハブラシによる歯磨きに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具を併用し、歯と歯の隙間や歯肉との境目に溜まった歯垢も取り除きましょう。

ただし、歯石だけはセルフケアで取り除くことができません。歯石は非常に硬く、どれだけ歯ブラシで磨いても落とせないからです。
逆に、力を入れて磨きすぎると歯周組織を傷つける原因となり、予防どころか、歯茎の炎症を悪化させる恐れもあります。
そのため、歯石は歯科医院で定期的に除去しましょう。歯石を取り除くためには、歯科衛生士による「スケーリング」という処置が必要です。鋭い先端部を持つスケーラーという器具を歯周ポケットや歯面に当てて、徹底的に歯垢や歯石を取り除きます。

虫歯や歯周病の予防には、歯面や歯と歯茎の境目に歯垢を溜めない、歯石にならないようにすることが大切です。そのため、お口の健康維持のためにも、歯科医院で定期的に検診を受けることをお勧めいたします。